~郷土玩具・物語 オススメ10選~
テーマ選びに悩まれている方向けに、オススメの題材をご用意しました。
伝承や郷土玩具の由来を参考にしながら、現代の文化や社会課題に照らし合わせた、オリジナルの物語を創造してみてください!あなたならではの自由な発想で紡がれる、魅力あふれる物語をお待ちしております。

井伊直孝が鷹狩りの帰りに寺の前を通りかかると、和尚の飼い猫が前足をあげて直孝を招くよ うな仕草をしました。不思議に思った直孝が猫に導かれるように寺へ入った直後、突然の雷雨になったのです。雷雨を避けることができた直孝は、この猫のおかげで難を逃れたと喜び、寺に多額の寄進をしました。
これにより豪徳寺は立派に再建され、福を招いた猫を「招福猫児(まねきねこ)」と呼び、お祀りする招福殿が建てられ、猫は「招き猫」として信仰されるようになったといわれています。

平安時代、征夷大将軍・坂上田村麻呂が大滝根山に住む鬼・大多鬼丸を討伐する際、京都・清水寺の僧・延鎮から100体の木彫りの駒を授かりました。戦が始まるも、田村麻呂の軍は長旅の疲れで苦戦。しかし突如100騎の駒が現れ、兵たちはそれに乗り戦い大多鬼丸を討ち取ることに成功しました。
戦後、100騎の駒は姿を消しましたが、村人が高柴村近くで汗をかいた1体の木駒を発見。知恵者の話から延鎮の木駒と知り、残りの99体を作り補いました。数年後には最初に見つかった延鎮の木駒は姿を消してしまったものの、99体を子どもに与えると健康に育ち、子どものいない家では木駒に大豆を供えると子宝にめぐまれると伝えられるようになりました。

河童(かっぱ)には人間の「尻子玉(しりこだま)」(お尻の奥にあるとされる魂のようなもの)を抜くという伝説があります。ある日、若者が川で泳いでいたところ、河童に尻子玉を抜かれてしまいました。その若者は力を失ってぼんやりとした状態になり、ついには亡くなってしまったのです。このお話には「川で遊ぶ時には注意えよ」という教訓が含まれており、昔から語り継がれています。
その他にも「河童と相撲、河童とキュウリ、カッパ淵」等、河童にまつわる伝承や民話は数多く存在します。地域ごとの伝承を調べると、また違った河童の性格や結末が見られるかもしれません。

いまから400年以上前の1611年に会津地方を襲った大地震。虚空蔵堂(こくぞうどう)をはじめお寺や民家が倒壊し柳津町も大きな被害を受けました。震災後の1617年に虚空蔵堂(本堂)は現在の岩の上に建てられましたが、再建のための大材を上まで運ぶのに大変困り果てていました。
仏のお導きか、どこからともなく力強そうな赤毛の牛の群れが現れ、大材運搬に苦労していた黒毛の牛を助け、本堂を建てることができたのです。一生懸命手伝った赤毛の牛は「赤べこ」と呼び、忍耐と力強さが伝わりさらには福を運ぶ「赤べこ」として多くの人に親しまれるようになりました。

昔、北の海からやってきた武塔神(ムトウノカミ)が旅の途中で宿を探していた時、裕福な弟の巨旦将来(コタンショウライ)は断り、貧しい兄の蘇民将来(ソミンショウライ)は心からもてなしました。武塔神が蘇民将来に子がいるかどうか尋ね、娘がいると答えると腰に茅の輪を付けさせるように言います。
その夜、武塔神は蘇民将来と娘たちの茅の輪を目印に、弟たちを滅ぼしました。そして武塔神はみずからを速須佐能雄神(ハヤスサノオカミ)と名乗り、茅の輪を付けていれば、疫病を避けることができるといったそうです。

越前の十楽村。夫に先立たれた嫁は、菩薩のために夜ごとのお参りをかかしませんでした。ところが姑はたいへん欲深く意地の悪い婆さんで、嫁の信心深いのが憎く何とか止めさせようとします。
ある日、姑は悪だくみを思い立ちます。先祖伝来の鬼面をかぶり、お参りの道を急ぐ嫁の前に立ちはだかったのです。嫁は恐ろしさに身の毛もよだつ思いでしたが、念仏を唱え見向きもしないで御坊へと急ぎます。姑は嫁の気迫になすすべもなく家に帰り、面を取ろうとしたのですが、面は顔から離れず身動きも取れなくなってしまい…
そのうちに嫁が帰ってきたので、事の終始を語りざんげしました。嫁の勧めで真心をもって念仏をとなえると、不思議にも面は顔から落ちたということです。

学問の神様として信仰された天神様(菅原道真)と、鷽(うそ)という鳥にまつわる伝説があります。道真が無実の罪で大宰府(現在の福岡県)に左遷された際、敵に襲われそうになったことがありました。そのとき、無数の鷽が飛来し、道真の姿を隠して守ったと言われています。これが「鷽は天神の使い」とされる由来です。
鷽替え神事という、毎年1月に行われる開運招福を祈願する行事があります。参拝者が神前に集まり、授かった鷽を「替えましょう、替えましょう」と声をかけ合いながら人の手から手へと渡して取り替えていく行事です。何度も何度も取り替えることによって、吉事に替えることができるといわれています。

奈良時代から伝わるとされる伝説によると、日本の地下には大きなナマズが住んでおり、そのナマズが暴れると地震が起こるとされています。茨城県の鹿島神社には「要石(かなめいし)」と呼ばれる石があり、これがナマズを押さえつけているため大きな地震が防がれていると信じられてきました。同様の伝承は千葉県の香取神宮にもあり、鹿島神社の要石とともに地震を抑える役割を果たしていると言われています。

二つに割った饅頭を持った男児の人形です。これは、父と母とどちらが好きかと問われた子供が、饅頭を二つに割って「どちらがおいしいか」と反問したという教訓話が由来とされています。両手に半分ずつ持って、大人のその質問の愚かさを笑っているようにも見えます。こ の人形を部屋に飾ると賢くなると信じられ、また賢い子供が産まれるように願を掛けることもありました。

赤ちゃんの疳の虫(かんしゃく)が起きた時、 その虫をザルですくってしまう「虫封じ」のまじないと、ザルで水をすくっても通してしまうので、鼻づまりが治るようにと 願いを込めて寝ている子どもの真上につるしておくと言い伝えられています。
また「犬」の頭に「竹」のザルをかぶせている姿が「笑」を表しているとされ、【ざるかぶり犬】は笑いで福を呼び込む笑門来福の縁起ものです。