虎は力強い印象から、たくましく健康である象徴とされ、様々な病魔を追い払い無病息災をもたらすといわれています。また、戦いをつかさどる「武神」としてその名が知られる「毘沙門天」と結びつく虎は厄除けの力を持っていると考えられています。日本では子供の強健を祈るために、主に関西地方では端午の節句の時に五月人形と虎の置物を一緒に飾って祝う習慣があります。毘沙門天は、仏教の守護神であり、福の神でもあります。 災いを除け、福を招いてくださる、除災招福のご利益があるがあると言われる。
毘沙門天は、古代インド・ヒンドゥー教で「クベーラ」と呼ばれていた神様がもとになっています。別名を「ヴァイシュラヴァナ」と言い、これを漢字で表すと「毘舎羅門(びしゃらもん)」に、それがさらに変化して「毘沙門」となりました。ヴァイシュラヴァナには、「すべてのことをいっさい聞きもらさない知恵のある者」という意味があります。また、毘沙門天の「天」は天界に住む者の総称である「天部」を指します。
古代ヒンドゥー教で金運と福徳の神様だったことを引き継ぎ、日本でも財福の神様として信仰されることがあります。また、仏教を守るという強いイメージから、戦いや勝利の神様として、鎧を身につけた武将の姿で表現されるようになりました。その他、疫病を祓い無病息災を願う神様として、毘沙門天を祀っているお寺や神社もあります。
また、鑑真和上の高弟・鑑禎上人が霊夢で白馬に導かれてれて鞍馬山に登り、鬼女に襲われたところを毘沙門天に助けられたのが寅の月、寅の日、寅の刻だった。そこで鑑禎上人は草庵を結び、毘沙門天を祀ったという伝承があります。
毘沙門天が虎を使いに選んたのは何故?
毘沙門天は寅の年・寅の月・寅の日・寅の刻に生まれたとのことから、虎は毘沙門天の化身や遣いといわれています。 そのため毘沙門天を祀っている本堂前には、一対の狛犬ならぬ狛虎(いしとら)が鎮座。大陸を通じて日本に伝わった時に、虎が使いとなりました。
百獣の王といえばライオンですが、中国では百獣の王といえば「虎」であり、獰猛な野獣としての虎は古くから武勇や王者のイメージとして捉えられ、魔除けや山の神として崇拝された歴史があります。