遠野むかしばなし【あらすじ】
昔、あるところに父と母と美しい娘がいた。この家には立派な男の馬がいた。ある時、年頃になった娘が「馬と夫婦になりたいと」言い出した。父は驚き怒って、馬を桑の木につるして鎌で馬の皮を剥ぎはじめた。娘はそれを見て泣き続けて詫びた。ところが、皮を剥ぎ終わるころ、馬の皮が飛んできて娘を抱きかかえたまま天へ上って行った。それを見ていた母は泣き出し、父と母は毎日毎晩泣き明かした。ある晩のこと、娘が夢枕に立ち言った。
「来年の3月14日の朝、土間の臼の中を見てください」と。待ちに待った3月14日が来た。土間の臼の中をのぞいたところ、娘の言うとおり、面の長い馬の頭のような虫がたくさんいた。その虫に馬をつるした桑の木の葉っぱを食べさせて育て、真っ白な繭から糸をとり機織して暮らしを立てた。父と母が馬をつるした桑の木で娘の面と馬の頭を作って祀ったのが「おしらさま」だという。
【解説】
おしらさまは、家の神として旧家に崇められてきた。養蚕の神として有名ですが、遠野では目の神として信仰され、時には農業手伝神、狩の神、お知らせの神として語られる事がある。神像は、馬頭(男神)娘頭と(姫神)からの複数体からなり、古くは巫女婆様と娘たちによってオシラ遊びが行われた。祭り方や祭日は家毎に異なり、年に2~3回行われ、小正月などに衣替えが行われる。貫頭衣と包頭衣の像の他に掛軸の画像もある。また、よく似た屋内の神にオクナイサマがあり、祭り方や性格も共通するものがある。
(引用)https://library.city.tono.iwate.jp/mukashi.html
千と千尋の神隠しにも登場(本編で名前を呼ばれることはない)
一般には蚕の神、農業の神、馬の神であると共に、子供の神であり、子供と遊んでいたという伝承があるほど子供好きで知られており、千尋を助けたのはそういう裏設定があるようです。
巨大な大根の神さま。油屋のお客様の一柱であり、蚕の神、農業の神、馬の神を司る。
本編での役割は、千尋を湯婆婆の元に連れていくこと。リンから成り行き上案内役を受け継ぎ最上階に繋がるエレベーターに同乗することになる。たったそれだけだが、千尋の匂いに感づいた蛙男から千尋を隠すように立ち、千尋を湯婆婆の階まで送るなど無言の動きには優しさが垣間見え、結構印象に残るキャラである。
また「川の神」が汚れを落とし帰っていく際には一瞬手を振って見送ったり、「ヤンヤ~」と客たち千尋を盛り上がる中、扇子を持って舞い踊っている様が見える。本編での登場シーンは僅かながら、千尋に対する振る舞いや一度見たら忘れられないフォルム、何よりそのなんとも言えない愛嬌からか、公式グッズで何度かフィギュア化されている、千と千尋の神隠しの隠れ人気キャラと言える。
(引用)https://dic.pixiv.net/a/%E3%81%8A%E3%81%97%E3%82%89%E6%A7%98