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個の狐は大変利口で、明治の初期、三河の山道を通行した人々を、様々な人間の姿に変じて送り迎えをしたと言う。時には別嬪になったり又は旅僧に変じたりして通行人をからかったそうである。
当時私の叔父も仕事の帰りには何時も遅くなるので途中木の根に腰おろして一服していると丈の高い坊さんが自分の前を通り去っていくので「もしもし」と声をかけたが無言であった。
事によると狐かもしれぬと思いその後をつけて走り寄ると 道の端に立ち止まってニヤニヤと笑って居るので いよいよ腹を立て 手荷物を下に置いて道端の枯草を取り坊主頭の皮のむける程こすって居る中に いつしか東の空が白み出し夜が明けて よくよく見ると辻地蔵の頭をこすって居たと一口話によく聞かされた。
又、昼間は子狐を連れて遊び、夫婦で戯れたりして居るところをよく見かけ、近よっても別に逃げようともしない。そんな親子の愛情、夫婦の愛情を微笑ましく眺めて居る事もあった。(後略)
松田実 八ツ面焼 マツダ民芸品 窯元 松田 克己
三河に棲むという賢くていたずら者の三河狐を題材に、母狐の愛情あふれる姿を表現した親子狐。
なんと皇后美智子さまが親子狐を購入され雅子さまにプレゼントされ、すぐにご懐妊、愛子さまがご誕生になったとのことです。
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