'アンガマ' 怖ろしいお面をつけて集団で押しかける「あの世からの使者」の正体とは⁉
旧暦7月13日旧盆の日から3日間行われる石垣市のアンガマ踊りになくてはならないのがアンガマの面。
翁(ウシュマイ)、媼(ンミ)は多数の男たちを引き連れ、各家々に招きを受けて訪問。まず最初に、家に到着したら仏壇に拝み、ウシュマイ、ンミの踊りや歌が披露されます。これは、子孫繁栄と豊作を祈る「念仏謡」と言われ、全て八重山方言で行われます。
怖ろしいお面の集団ですが…実は全然怖いモノではないのです!
それは翁、媼からの珍問答!見物人からあの世の生活について質問を受け、トンチの利いた回答をしていく。
その時にはウシュマイとンミの2人は裏声しか発してはいけないのだそう。裏声で発せられる、八重山方言でのユニークなやりとりは、方言を知らない人でも十分に楽しむことができます。
そして一座の者が順々に島の踊りを踊る。鷲の鳥節、鳩間節、安里屋節などがよく踊られる。踊りが終ると家を退去し、三味線、笛、太鼓の音もにぎやかに道行、ハヤシを奏しながら次の家にいくのです。
アンガマの歴史の始まりは明らかになってはいませんが、17世紀頃ではないかとされています。
語源については諸説があります。
「姉」を意味する言葉、「覆面」を指す言葉、「踊りの種類」を指す言葉、「懐かしい母親」を意味する言葉、「精霊と共に出てくる無縁仏」を指す言葉などの説がありますが、アンガマには親孝行の歌が多く、覆面をする意味も「親の霊に顔向けできないが、感謝の気持ちを伝えたい」という意味があるのではないかということであり、その話の流れから類推すると「懐かしい母親」を意味する言葉の説が有力だと言われています。
なんと「ゲゲゲの鬼太郎」を生んだ漫画家・水木しげるさんがアンガマについて書いていますが、「死者を弔い、死んだ人のことを思う行事としては、世界最高のものだと思う。ほがらかな中にも、死者に対するあたたかさも存分にあり、それに喜んでもらおうとする歌舞がとてもいい。ぼくは大好きだ。“百聞は一見にしかず”、一度見てみなさい、正に世界一です。」と、絶賛されています。書籍「沖縄いろいろ事典」(ナイチャーズ編、新潮社)